弁護士 河合弘之

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福井地裁高浜原発異議決定を受けての弁護団声明

2015/12/25

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2015年12月24日2時、福井地裁(林潤裁判長)は高浜原発保全異議を認めて仮処分決定を取り消し、大飯原発仮処分の申し立てについて却下決定を行いました。
弁護団共同代表の河合弘之弁護士は、「この決定は、関西電力の主張のコピペです。非常にレベルの低い尊敬できない決定である。今なお避難等を強いられている福島の方々の思いに向き合おうとしない、極めて不当な決定であると考える。私たちとしては、こういうものは決して容認できないというふうに考えている。私たちはこのような結果に一喜一憂することなく闘い続ける」と述べ、名古屋高裁金沢支部に決定を取り消すための抗告を申し立てる方針を明らかにしました。
高浜原発異議決定を受け、脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団は下記の通り声明を発表しました。

 

 

福井地裁高浜原発異議決定を受けての弁護団声明

 

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2015年12月24日

高浜原発3・4号機については、本年4月14日、福井地方裁判所の樋口英明裁判長、原島麻由裁判官、三宅由子裁判官による運転差止仮処分命令が発令されていましたが、本日、同裁判所の林潤裁判長、山口敦士裁判官、中村修輔裁判官により仮処分命令は取り消されました。

 

私たちは、福島原発事故のような事故を二度と招いてはならないという観点から新規制基準の不合理性、基準地震動の策定手法の不合理性、津波の危険性、工学的安全性の欠如、シビアアクシデント対策・防災対策・テロ対策の不備といった様々な危険性を指摘しました。

 

これに対して、本決定は、原子力規制委員会の判断に追随するだけの形で私たちの主張立証を排斥しました。 とりわけ、基準地震動に関しては、「最新の知見に従って定めてきたとされる基準地震動を超える地震動が到来しているという事実」は、「当時の基準地震動の想定が十分でなかったことを示すものである」と認めながら、「いずれも福島原発事故を踏まえて策定された新規制基準下での基準地震動を超過したものではない」とし(113頁)、新規制基準下ではこのようなことは起こらないとされています。

 

しかしながら、一方で、本決定は、「新規制基準の策定に関与した専門家により『基準地震動の具体的な算出ルールは時間切れで作れず,どこまで厳しく規制するかは裁量次第になった』との指摘がされていること」も認めており(105頁)、この認定からすれば、新規制基準における基準地震動の策定手法は見直されていないのですから、上記決定は、論理矛盾を来しているといわざるを得ません。

 

さらに、本決定は、「あらかじめ判明している活断層と関連付けることが困難な地震でマグニチュード7を超えるものが起こる可能性を完全に否定することはできない」とし(122頁)、「本件原発において燃料体等の損傷ないし溶融に至るような過酷事故が起こる可能性を全く否定するものではないのであり,万が一炉心溶融に至るような過酷事故が生じた場合に備え」なければならないとしています(223頁)。本決定は、福島原発事故の深刻な被害から何も学ぼうとしない、極めて不当な決定であり、原発周辺住民が事故によって被害を受けることを容認していると言わざるを得ません。

 

林潤裁判長は、11月13日の審尋期日の際に「常識的な時期」に決定を出すと発言しましたが、私たちが指摘したすべての問題点について正面から検討した上で本日12月24日に決定を出すというのは「常識的な時期」とは到底いえず、年末も押し迫った常識外れなこの時期に出した本決定は、高浜原発3・4号機の再稼働スケジュールに配慮した、結論ありきの決定であると言わざるを得ません。高浜原発3,4号機が再稼働して重大事故を起こした場合、その責任の重要部分は再稼働を許した3人の裁判官にあるということになります。

 

しかし、私たちは、このような不当決定に負けることはありません。なぜなら、理論的正当性も世論も私たちの側にあるからです。福島原発事故のような事故を二度と招いてはならない、豊かな国土とそこに根を下ろした生活を奪われたくない、子ども達の未来を守りたいという国民・市民の思いを遂げ、ひいては失われた司法に対する信頼を再び取り戻すため、最後まで闘い抜くことをお約束します。

 

2015年(平成27年)12月24日

脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団

共同代表 河合弘之・海渡雄一

 

決定文:

高浜原発保全異議決定文要旨 (PDFが開きます)
高浜原発保全異議決定文全文 (PDFが開きます)
大飯原発仮処分決定文 (PDFが開きます)

今までの裁判の詳細は:

大飯高浜仮処分支援の会

もんじゅを廃炉へ。

2015/12/11

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河合弘之弁護士・海渡雄一弁護士は、ナトリウム漏れ火災事故から20年を迎える12月8日記者会見を開き、高速増殖炉「もんじゅ」を廃炉にするために新しい訴訟を準備していることを明らかにしました。河合弘之弁護士は、12月5日福井市で行われた「もんじゅを廃炉へ!全国集会」に以下のメッセージを送っています。

 

2015年12月5日

 

弁護士の河合弘之です。

私は映画「日本と原発」に続き、脱原発の方向を明らかにする新たな映画制作のため現在アメリカにおり、大変残念ながら集会に参加できません。集会への連帯メッセージを送らせていただきます。

 

集会に参加されたみなさま

全国のみなさま

高速増殖炉もんじゅについて、原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に見切りをつけ、「半年を目途として、別の運営主体に切り替えよ。それが不可能ならば安全上のリスクを明確に減少させるよう抜本的に見直せ。」という勧告を文部科学省に対して行いました。

 

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「これでもんじゅも遂に終わりになる」と安心するむきがありますが、私はそのように安心できません。原子力ムラの従来からのしたたかさからすると、必ず「替わりの受け皿組織を作り、トップは入れ替え、原研機構から技術者たちを連れてくる」という「ズル」をすると考えます。または、「適当に対策を講じたうえで、リスクは明確に減少させ、抜本的に見直した」などという、今日まで何回も繰り返してきた「言い訳」を、また行うでしょう。私たちは、動燃、サイクル機構、原研機構と看板だけをすげ替えながら、もんじゅの延命を図ってきた国の核燃料サイクル政策のいい加減さにうんざりしています。

 

しかし、原子力規制委員会は「勧告」によって、原研機構には「技術的能力がない」と、断言しています。今が、もんじゅをやめさせる絶好のチャンスです。このチャンスを確実にものにしなければなりません。いままでのような「ズル」や「強弁」、「言い訳」を許さず、本当に「もんじゅ」に引導を渡すには、今の時点で裁判を起こし、息の根を止めに入る必要があります。訴訟によって社会の注目を集め「ズル」や「強弁」をさせないようにする必要があります。

 

今、そのために、「原発反対福井県民会議」のみなさまや再稼働反対で頑張っている市民のみなさま、知識と経験豊富な前回もんじゅ訴訟の弁護団、さらの脱原発弁護団の弁護士たちと、裁判の準備を始めています。

 

高速増殖炉もんじゅは、20年も前のナトリウム漏えい火災事故で止まったままです。すでに原子炉と呼べるような状態のものではなく、単なるナトリウムの容器に過ぎません。幻(まぼろし)の核燃料サイクルの亡霊のような存在、もんじゅに今こそ止めを刺す時です。

 

今日、ここ福井の集会にされたみなさまの力、そして脱原発を願う全国の市民の思いを集め、もんじゅの設置許可取消訴訟を起こし、もんじゅの廃炉を勝ち取りましょう!

 

参照:

写真:高速増殖炉もんじゅ(脱原発弁護団全国連絡会提供)

東京高等裁判所で『日本と原発 4年後』上映

2015/10/22

浜岡原発運転差止裁判

『日本と原発』は各地の裁判に証拠提出し、法廷で上映 されていますが、東京での上映は初めてになります。

浜岡原発運転差止裁判控訴審の第19回口頭弁論期日(東京高等裁判所 101号大法廷)で、「避難計画不備」についてのパワーポイントプレゼン後に、『日本と原発 4年後』の法廷版(30分短縮版)が上映されました。

「避難計画不備」についてのパワーポイントプレゼンでも、映画『日本と原発』のシーンを使い、「過酷事故の避難範囲を 170km圏内から250km圏内として立案しなければならず、他の原発との重複を考えれば、立案自体が不可能である」と主張しました。

裁判長と裁判官は『日本と原発 4年後』の画面を食い入るように見つめ、被告側代理人も耳の後ろに手をつけて、映画の音声を逃さないようしっかり聞いていました。

映画を見た控訴人(原告)からは「被控訴人(被告)たちは『最悪シナリオ』が起こるとは思っていないのではないか」「被害が及ぶ範囲が170kmから250km圏内とするなら、地元がどこになるのか」「避難計画は争点になる」「今までおとなしすぎた」などの発言が報告会で出ました。

参照リンク:「浜岡原発止めよう裁判の会」

「原発再稼働に対する裁判の状況」について語る

2015/10/15

2015年10月14日、isepの飯田哲也さんとともに招かれ、「福島原発事故後の再生可能エネルギーへのシフトについて」と題する外国人特派員協会昼食会で、河合弁護士は福島事故後の裁判の状況を語りました。(10/14/2015)(15′ 56″)

 

外国特派員の記者からは、電力自由化は原発を減らす効果があるか、脱原発に関して米国からの圧力はあるのか、日本がプルトニウムを貯蔵する理由について、関西電力は高裁で闘うつもりなのか、日本は憲法9条を変更し利益追求のために核兵器開発をする可能性があるか、福島原発事故後原子力ムラの人たちはどう考えているのか、などの質問がされました。

 

 

 

外国特派員協会昼食会ビデオ (全録画:1°31’06”)

 

 

The luncheon with Tetsunari Iida & Hiroyuki Kawai on “Japan’s Turn to Renewable Energy Post – Fukushima” on October 30, 2015

「映画」は脱原発への戦略を考えていくための「武器」

2015/10/08

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「原発で幸せを運ぶのかー差し止め訴訟弁護士が続編を監督」、大久保真紀編集委員、朝日新聞朝刊、10/7/2015

『伝わらぬのなら映画にしてでも』

2015/10/08

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「あの人に迫るー脱原発の弁護士 河合弘之 『伝わらぬのなら映画にしてでも』」、宿谷紀子、中日新聞夕刊、10/02/2015; 東京新聞朝刊、10/04/2015)

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